信濃毎日新聞・四国新聞の記事で団長が紹介されました
2016年9月1日 信濃毎日新聞


ゆとり世代 有望論 「個の尊重」教育 成果はこれから
学力が低い、競争意識が低い、協調性が低い…などと負のイメージで語られることが多かった「ゆとり世代」。だが社会に出始めた彼らを「自己肯定感が高い」「意外にたくましい」などと評価する声が、教育関係者を中心に上がっている。
「平成生まれですと顧客に自己紹介すると『ああ、ゆとり世代ですね』と言われ、微妙な空気が流れる」と苦笑するのはIT系企業の営業職、松江康平さん(26)。周囲からは「欲がない」と言われる。「頑張れば、上を目指せる」と期待もされるが、当人は「僕は今のままでいい」とマイペースだ。
ゆとり世代とは、2002年度施行の改定学習指導要領に基づいて学校教育を受けた人を指す。1980年代後半から00年代前半に生まれた人たちだ。
「生きる力」の育成を目指し、子どもが主体的に学ぶ「総合的な学習の時間」などが新設される一方、学習内容は絞られ、授業時間も削減され、完全週休2日間制が導入された。その結果、一部の保護者から学力の低下が懸念された。
「ゆとり世代が駄目なんて、とんでもない。他人との比較でなく、自分と闘うことができる人たち」と評価するのは、教育評論家の尾木直樹さん。リオデジャネイロ五輪の体操男子個人で2連覇を果たした内村航平選手(89年生まれ)らを例にあげる。
「ゆとり教育の理念は個の尊重。一斉集団指導からの発送の転換でした。ゆとり世代は自分で目標設定できる。だから自分の出来や納得にこだわる」と説明する。
夏休みなど長期休暇に、タイで子どもたち向けのキャンプを主宰する「バンコク教育相談センター」代表の斉田有太郎さんも「ゆとり世代は『金の卵』だと思う」と話す。日本で25年間教師をしていた経験から「行動は一見、非効率に見えるけれど、自分で道を切り開いていけるたくましさがある」と評価する。
だが「ゆとり世代学力低下説」は根強い。経済協力開発機構(OECD)が各国の15歳を対象に0年から実施している学習到達度調査(PISA)で、日本は03年、06年と連続して点数を下げたからだ。
しかし尾木さんは「ナンセンス。03年と06年の15歳は小学校で詰め込み教育を受けた人たちです」と真っ向から否定。ゆとりで育った09年、12年は15歳の点数は上げており「成果が出るのはこれから。楽しみ」と期待している。
文部科学省在職中に、ゆとり教育の旗振り役だった京都造形芸術大教授の寺脇研さんは「高度成長期の日本は詰め込み教育を推し進め『量』を重視してきた。ただ21世紀は、答えのない課題に向き合う時代。ゆとり教育の理念はますます重要になると思う」と話している。
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