読売新聞「人が世界が舞台」に掲載されました

 

読売新聞 2014年3月8日(土)
「子供の夢の応援団長」斉田有太郎
(略歴)浜松市出身。私立国際開洋第一高校(現菊川南陵高校)で教頭職。2005年に中野学園オイスカ高校駐在員でタイ赴任。アメリカン・スクール・オブ・バンコク日本人部マネージャーを務めながらSAWANの活動を続ける。

 タイに住む日本人の子供たち向けに植林体験や異文化理解のための教育キャンプを企画するSAWAN・THAILAND(サワン・タイランド)の代表を2007年から続ける。Tシャツにバンダナ姿がトレードマークで、子供たちには「団長」と呼ばせている。「子供たちの将来の夢の応援団長宣言」をしているからだ。
 サワンはタイ語で天国の意味。環境保全に取り組む「オイスカ・タイランド」の傘下にあり、夏休みに3回、冬休みに2回、春休みに3回のペースでタイ各地で行う活動は、バンコク在住の小中高校生を中心に毎回50〜100人が参加する。
植林は必ず現地の人たちといっしょに行う。日本人の子供をタイ農村部でホームステイをさせるなどの交流もしている。子供たちに、環境問題や国際協力について肌で感じ、考えてもらうことを目指しているという。
 3年前の東日本大震災とタイの大洪水の際は、SAWANに参加した子供たちが率先してバンコクの街頭で募金活動を行い、現地や日本のメディアにも取り上げられた。
教育の道を志したのは、小学校時代の恩師の影響が大きかった。「水泳の授業で、泳ぎたい子には朝から6時限目まで泳がせて限界や記録に挑戦させ、最後まで見守るような熱血教師だった」という。
大学時代に「少年の船」で中国を訪問し、教員時代にもインド北部ダラムサラのチベット難民と交流したり、タイの難民キャンプを訪ねたりしたのが国際交流活動の原点だ。
 SAWANの活動で植林と並ぶ柱と位置づけるのが、子供たちに将来の夢と、そこに到達するには具体的に何が必要かを書き込ませる「夢マップ」の作成だ。「宇宙飛行士になりたい」なら、どの学校に入り、何歳で何が出来るようになればよいか。詳細に書き出させ、音読もさせる。子供たちには、「自分の夢をあきらめさせる者がいるとすれば自分自身しかいない」と言い聞かせている。
タイに来て、50歳を過ぎてゴルフを始めた。「日本での活躍の後タイでリタイア生活を送る人生の先輩たちの話を、コースを歩きながらゆっくり聞けるのがありがたい」と言う。教えるだけでなく、学ぶことにも貪欲だ。(バンコク 永田和男、写真も)

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